インポジションの場合
この表はBTNvsBBのCB簡易戦略をまとめたものです。実践で扱えるようになるために詳細を解説していきます。
BTNvsBBのSRPはIPからCBを打つ代表的なスポットの1つです。なので、COvsBBやUTGvsBBなど、同じくIPアグレッサーの場合は流用しても問題ありません。
使い方
①ベットサイズと頻度の確認
フロップが開かれたら、まずは(表1)を確認します。6種類に分類されたボードの中で該当するものを探し、適切なベットサイズとベット頻度を把握してください。
CB頻度が100%の場合は、ハンドに関係なく指定のサイズでそのままベットする。
CB頻度が100%でない場合は、ハンドの振り分けを行ってチェックレンジを作る必要がある。
②チェックレンジの構築
適切なベットサイズとベット頻度を把握したら、次は(表2)を確認します。ハンドごとに指定の頻度でベットまたはチェックすることでバランスよくレンジ構築することができます。
ハンドの振り分け方のコツは後ほど詳しく解説していきます。
ボードの分類
まずはどのようにボードを分類するのかを解説します。
まず最初に特殊なボードを大まかに分類し、それ以外の標準的なボードをさらに細かく分類しました。
特殊なボード
- モノトーンボード
- ペアボード
- その他の標準的なボード
ここから標準的なボードをさらに分類していきます。
標準的なボード
- Aハイボード
- K~Tハイボード
- 9ハイボード以下
K~Tハイボードに関しては、さらに分類していきます。
K~Tハイボード
- B≦5
- B≧6
上記の”B”はボトムカードのことです。
つまり、『B≦5』とは『ボトムカードが5以下』ということになります。
これらをまとめると以下の6種類に分類できます。
ボードの分類
- モノトーンボード
- ペアボード
- Aハイボード
- K~Tハイボード(B≦5)
- K~Tハイボード(B≧6)
- 9ハイボード以下
各ボードの簡易戦略
①モノトーンボード
簡易戦略
- ベットサイズ 20%
- ベット頻度 100%
②ペアボード
簡易戦略
- ベットサイズ 20%
- ベット頻度 100%
③Aハイボード
簡易戦略
- ベットサイズ 20%
- ベット頻度 100%
この3種類のボードは特にCB頻度が高くなりやすいです。ボードの性質上、相手のトラッシュハンド(ごみハンド)を降ろしやすいので使うベットサイズは20%で十分ですね。
ベット頻度が100%ということで、所謂レンジCBになります。このボードの場合はどんなハンドを持っていても安いCBを打つようにしてください。
④K~Tハイボード[B≦5]
簡易戦略
- ベットサイズ 33%
- ベット頻度 100%
トップカードとボトムカードが離れているためストレートドローが少なく、比較的ドライなボードになりやすいです。そのため、このボードではCB頻度が高くなります。
先ほど紹介した3種類のボードよりは、相手のトラッシュハンドを降ろすのが若干難しくなるので使うベットサイズを33%としました。
こちらのボードもベット頻度が100%ということで、所謂レンジCBになります。どんなハンドを持っていても安いCBを打つようにしてください。
⑤K~Tハイボード[B≧6]
簡易戦略
- ベットサイズ 75%
- ベット頻度 50%
⑥9ハイボード以下
簡易戦略
- ベットサイズ 75%
- ベット頻度 50%
トップカードとボトムカードが近いためストレートドローが多く、比較的ウェットなボードになりやすいです。相手のレンジに存在するトラッシュハンドが少なくなるため、大きいサイズを使ってAハイやポケットペアなどを降ろしにいきます。
大きいサイズを使う場合はCB頻度を落とす必要があるので、ベット頻度を50%としました。ベットレンジとチェックレンジにバランスよくハンドを振り分けてレンジ分割をする必要があります。
ハンドの振り分け方
CB頻度が100%でない場合はチェックレンジを作る必要があるため、ベットに適したハンドとチェックに適したハンドを選びバランスよくレンジ構築する必要があります。
今回の場合で言うと、CB頻度が50%である以下の2種類のボードになります。
⑤K~Tハイボード[B≧6]
⑥9ハイボード以下
ここでは、バランスよくレンジ構築するには具体的にどのように振り分けていけばいいかを各ハンドごとにそれぞれ解説していきます。
ただ、ここで1つだけ気を付けてほしいことがあります。
つまり、上記の2種類以外のボードでは、この先の話は全く関係ないということですね。
[1]ツーペア以上
振り分け方
- ベット頻度 100%
- チェック頻度 0%
ツーペアやセット、ストレートなどは全てベットしてください。
[2]オーバーペア
振り分け方
- ベット頻度 70%
- チェック頻度 30%
オーバーペアは大体ベットで大丈夫ですがたまにチェックしてください。AAのみチェックして他を全てベットすると丁度いいバランスになります。
因みにAAはかなりチェックに適したハンドです。AAにはオーバーカードが存在しないため、QQやJJなどよりも比較的安心してチェックすることができます。
[3]トップペア
振り分け方
- ベット頻度 70%
- チェック頻度 30%
トップペアも大体ベットでいいですがたまにはチェックしましょう。キッカーが9以上の場合ベットして8以下の場合チェックすると丁度いいバランスになります。
キッカーの強いトップペアは、場合によっては3発ベットできることもあるので、フロップから積極的にベットしたいハンドになります。対してキッカーの弱いトップペアは3発ベットできないので、フロップではチェックレンジに回すことが多くなります。
[4]セカンドペア、サードペア
振り分け方
- ベット頻度 30%
- チェック頻度 70%
マージナルハンドの代表格であるセカンドペアやサードペアはチェック頻度が高くなります。Aキッカーのみをベットして他を全てチェックすると丁度いいバランスになります。
Aキッカーの良いところは同じペア相手に対して絶対にキッカー負けしないところです。また、ツーペアに発展した場合、相手のトップペアを逆転することができるため非常に優秀ですね。
[5]ポケットペア
振り分け方
- ベット頻度 0%
- チェック頻度 100%
ミドルポケットやローポケットもマージナルハンドの代表格ですね。全てチェックしてください。
ポケットペアはヒット系よりも遥かに発展性に乏しいマージナルハンドなので基本的にはベットしない方がいいです。安くショーダウンできるようにポットを押さえておきましょう。
[6]Aハイ
振り分け方
- ベット頻度 50%
- チェック頻度 50%
Aハイは意外とたくさんベットします。バックドアのストレートドローやバックドアのフラッシュドローが付いているものを積極的にベットしていると丁度いいバランスになります。
Aハイはポケットよりも遥かにベット向きのハンドです。ターンやリバーでAを拾えばトップペアになるし、Aハイはチェックするものと思い込んでいるプレイヤーが多いので盲点になりやすいですね。そういったレンジにもしっかりとAを仕込んでおくのが大事です。
[7]Kハイ以下
振り分け方
- ベット頻度 70%
- チェック頻度 30%
フロップでは大量のブラフが必要になるのでKハイ以下は積極的にベットします。ドローハンドはもちろん、バックドアが1つでもあればベットしてください。それぐらいで丁度いいバランスになります。
レインボーボードの場合はバックドアのフラッシュドローが激減してしまうので少し工夫しないとベット頻度が低くなってしまいます。
例えば、同じKJoでもスートによってベットとチェックを決めるとバランスよく振り分けることができます。
8♥7♠3♦
このようなクラブ以外のスートが落ちてるようなレインボーボードの場合、
K♣J♦はチェック
K♦J♠はベット
このようにクラブ持ちのハンドをチェックしてクラブなしのハンドをベットするようなイメージです。
クラブ持ちをチェックとしている理由はバックドアを1種類しかブロックしていないからです。クラブなしのハンドはバックドアを2種類ブロックしています。バックドアをたくさんブロックしているハンドの方が相手を降ろせる可能性が高くなるのでベット向きのハンドですね。
総括
今回紹介した簡易戦略はレンジCBを多用しているのでCB頻度がかなり高くなります。計算してみると分かると思いますが平均すると85.3%ですね。
『こんなにたくさんCB打って大丈夫なの?』
少し心配になった方も居るかと思います。
・・・
大丈夫です。全く問題ないです。
MTTの場合、BTNvsBB(SRP)のCB頻度の適正値は大体80%ほどになります。5%ぐらいオーバーしてますがこれぐらいなら全く問題ないですね。むしろ80%を下回っている方が問題です。
CBが利益的になりやすい現環境でCB頻度が適正値よりも低いのであれば結構なEVロスになるので改善した方がいいですね。
ただし、これはあくまでもBTNvsBBに限った話です。
今回はIPのCB戦略なのでここまでCB頻度が高くなっているのです。
なので、同じくIPがCBを打つ側になるUTGvsBB(SRP)の場合は、そのまま使っても大丈夫です。レンジ感は若干変わりますがそこまで大きな問題にはならないと思います。
しかし、OOPがCBを打つ側になる場合は絶対にそのまま使わないでください。
例えば、以下のスポットなどですね。
- UTG vs BTN (SRP)
- SB vs BB (SRP)
この場合、どちらもOOPがCBを打つ側になります。
OOPの場合はCB頻度の適正値が50%ほどになるので、今回の簡易戦略をそのまま使ってしまうと激しいEVロスになってしまいます。
OOP専用の簡易戦略は別で用意しているのでこちらをご覧ください。