トリプルバレル
この表はトリプルバレルの簡易戦略をまとめたものです。実践で扱えるようになるために詳細を解説していきます。
使い方
①ベットサイズとレンジの確認
ダブルバレルを打った後リバーが開かれたら、まずは(表1)を確認します。6種類に分類されたボードの中で該当するものを探し、適切なベットサイズとバリューの下限、ブラフハンドを把握してください。
用語説明
- QハイF…Qハイフラッシュの略。
- 上スト…上のストレートの略。
- TPTK…トップペアトップキッカーの略。最もキッカーの強いトップペアのこと。
- TPGK…トップペアグッドキッカーの略。キッカーの強いトップペアのこと。
- 今回はキッカーがT以上のものとしておく。
②ハンドを確認しアクションする
適切なベットサイズとバリューの下限、ブラフハンドを把握したら、自分のハンドを確認します。ここで、バリューレンジまたはブラフレンジに該当するハンドを持っていた場合は指定されたサイズでベット、該当しないハンドを持っていた場合はチェックしてください。
各ボードの簡易戦略
①1枚フラッシュボード
Q♠6♥3♥ T♥ 2♥
1枚フラッシュボードとは、このようなハンド1枚でフラッシュを作ることができるボードのことです。
簡易戦略
- ベットサイズ 75%
- バリューレンジ
- Qハイフラッシュ以上
- ブラフレンジ
- Kハイ以下のハイカード
1枚フラッシュボードではお互いのレンジにフラッシュが50%ほど存在します。そのため、このボードではJハイフラッシュはマージナルハンドになってしまいます。
ナッツフラッシュであるAハイフラッシュは案外多く、お互いのレンジに10%~15%ほど存在します。なので基本的にポットオーバーのような大きいサイズは有効になりにくいです。
トリプルバレルを打つ場合はALLINが基本になりますが、このボードでは大きいサイズが使えないので標準的な75%サイズを使います。
そして、ブラフレンジはKハイ以下のハイカードですね。このボードではフラドロ滑りが存在しないので全てベットしてください。これで大体の場合バランスの取れた戦略になります。
因みに、リバーの場合バリューとブラフのバランスは2:1になるぐらいが丁度いいです。
なので、ターンでダブルバレルを打ったブラフハンドの内、リバーで諦めるハンドもある程度は必要になるということです。この簡易戦略ではフラドロ滑りやAハイをリバーで諦めるレンジとしています。
②1枚ストレートボード
Q♠J♥9♥ T♦ 2♠
1枚ストレートボードとは、このようにハンド1枚でストレートを作ることができるボードのことです。
このボードでは、Kまたは8を1枚でも持っていればストレートになります。Kxが上のストレートで8xが下のストレートですね。
簡易戦略
- ベットサイズ 75%
- バリューレンジ
- 上のストレート
- ブラフレンジ
- Kハイ以下のハイカード(フラドロ滑りを除く)
1枚ストレートボードではお互いのレンジにストレートが30%以上存在します。そのため、ポットオーバーのような大きいサイズを使うことができません。
ポットオーバーを使ってしまうと、相手はストレートのみのディフェンスで十分になるので、バリューがほとんど取れなくなってしまいます。お互いにストレートでチョップになってしまうからですね。
なので、標準的な75%サイズを使います。
そして、バリューレンジは上のストレートのみですね。トリプルバレルの場合、下のストレートは最早マージナルハンドです。激しいアクションによって、上のストレートがお互いにかなり濃くなるからですね。
このシチュエーションで相手が上のストレートを持っている確率はおおよそ25%ほどになります。そんなところに下のストレートで突っ込むのはあまりにも危険ですね。
そして、ブラフレンジはKハイ以下のハイカードになります。フラドロ滑り以外のものを全てベットしてください。
フラドロ滑りでブラフしない理由は、相手のフラドロ滑りを強くブロックしてしまっているからです。リバーのトリプルバレルではブラフハンドに向いていないハンドの代表格になるので覚えておいてください。
③フラッシュボード
K♠6♥3♥ 8♣ 4♥
フラッシュボードとは、このようなフラッシュの存在するボードのことです。
ここまででかなり特殊なボードを2つ紹介してきましたが、ここから先は比較的標準的なボードになります。
簡易戦略
- ベットサイズ ALLIN
- バリューレンジ
- ツーペア以上
- ブラフレンジ
- Kハイ以下のハイカード
トリプルバレルを打つ場合、余程特殊なボードでない限りは基本的にALLINするのがセオリーです。
フラッシュボードというのは、ターンでは比較的特殊なボードですがリバーでは標準的なボードになります。なので、トリプルバレルを打つ場合はしっかりALLINするようにしてください。もちろんポットオーバーのALLINになってしまっても問題ありません。
リバーでトリプルバレルALLINできるハンドの下限は基本的にTキッカーのトップペアになります。ただし、フラッシュが存在するボードではトップペアの価値が下がってしまうのでバリューレンジの下限を引き上げる必要があります。
なので、このボードではバリューレンジ下限がツーペアになります。
ブラフレンジはKハイ以下のハイカードですね。今回はフラドロ滑りが存在しないボードなので全てベットしてください。
④ペアボード
A♣9♦3♥ 9♣ 7♠
ペアボードとは、このようなペアが1つだけ存在するようなボードのことです。
簡易戦略
- ベットサイズ ALLIN
- バリューレンジ
- TPTK以上
- ブラフレンジ
- Kハイ以下のハイカード(フラドロ滑りを除く)
ペアボードもリバーではそこまで特殊なボードではなく、標準的なボードになります。なので、トリプルバレルを打つ場合はしっかりALLINするようにしてください。
バリューレンジの下限はTPTKになります。ペアボードではトリップスが存在するので、トップペアの価値が少し下がってしまいます。そのため、バリューレンジの下限をTPGKから少しだけ引き上げる必要があります。ただし、フラッシュボードと比較するとそこまで影響は大きくないです。
そして、ブラフレンジはKハイ以下のハイカードになります。フラドロ滑り以外のものを全てベットしてください。
⑤コネクトボード
T♠9♥3♦ 5♣ J♥
コネクトボードとは、このようなストレートの存在するボードのことです。
簡易戦略
- ベットサイズ ALLIN
- バリューレンジ
- TPTK以上
- ブラフレンジ
- Kハイ以下のハイカード(フラドロ滑りを除く)
コネクトボードはターンでもリバーでも標準的なボードになります。なので、トリプルバレルを打つ場合はしっかりALLINするようにしてください。
バリューレンジの下限はTPTKになります。コネクトボードではストレートが存在するので、トップペアの価値が少し下がってしまいます。そのため、このボードでもバリューレンジの下限をTPGKから少しだけ引き上げる必要があります。
ブラフレンジも同様にKハイ以下のハイカードですね。フラドロ滑り以外のものを全てベットしてください。
⑥ドライボード
K♠Q♥2♠ 4♣ 7♦
ドライボードとは、フラッシュもストレートも存在せずペアにもなっていないようなボードのことです。トップセットがナッツになるボードですね。
簡易戦略
- ベットサイズ ALLIN
- バリューレンジ
- TPGK以上
- ブラフレンジ
- Kハイ以下のハイカード(フラドロ滑りを除く)
今回はボードを6種類に分類してきましたが、ドライボードが一番標準的なボードになります。なので、トリプルバレルを打つ場合は当然のようにALLINしてください。相手のレンジには警戒すべきハンドがほとんど残っていないので一番ALLINしやすいシチュエーションですね。
バリューレンジの下限はTPGKになります。見間違いが多発しそうなので念のため言っておくと、トップキッカーではなくグッドキッカーです。Tキッカー以上のトップペアは全部ALLINするということですね。
ドライボードではフラッシュやストレート、トリップスなどが全く存在しないボードなので、トップペアの価値は相対的にかなり高くなります。Tキッカーでも十分強いです。
「TPGKでオールインしてもバリューターゲットないんじゃない?」
このように思われた方も居ると思いますがターゲットはしっかり存在します。実際にオールインしてみると、相手がキッカーの弱いトップペアやセカンドペアでコールしてくることがあります。
「自分がその辺りのハンドをコールしないから相手もコールしないだろう」
このような考え方は非常に危険です。相手がコールするハンドを自分基準で考えないようにしてください。
総括
今回紹介した簡易戦略はボードに関係なくブラフレンジを固定しているのでかなり覚えやすいと思います。
その反面、ボードによっては多少ブラフ過多になったり、逆にブラフ過少になったりと、どうしてもばらつきが出やすくなってしまいます。
しかし、リバーでは高い精度でバランスを取ろうとするのが極めて難しいです。リバーに辿り着くまでに分岐がかなり多く非常に複雑だからですね。
完璧を目指すのが難しいのであれば、幅広いシチュエーションにおいてベターになりやすい戦略を採用するのが合理的です。
そのような観点で言うと、この簡易戦略は非常に優秀な戦略といえます。冒頭に載せている(表1)を見ながら毎日実践練習することで、身体に染み込ませるように習得していってください。